
「銀行に就職すれば一生涯安泰だ」なんて思っている人、まさかいませんよね?
銀行員の定年は、50歳、55歳とも言われるくらいに短く、実質的に「いつまで銀行員として勤務出来るか?」不透明な部分も多いのです。
50歳前後で出向や転籍をして銀行を去って行った人、周りにもいませんか?
あまり知りたくない真実かもしれませんが、目を背けてばかりはいられません。
銀行員の定年事情について、ご紹介させて頂きます。
銀行員の定年が実質50歳の理由は?
銀行員は50歳までに役員などの重要ポストに就いていないと、関連会社への出向や取引先への転籍を命じられる。
これが、銀行員の定年が実質50歳だと言われている理由になります。
若手行員の出向は、修行のような意味合いが含まれているので、期待されている行員だからこそ出向することが大多数ですが、50歳を過ぎてからの出向・転籍は、いわゆる片道切符を貰ったようなもので、銀行員としての生活にサヨナラすることも覚悟しなくてはなりません。
私は、支店長まで務め、役員のポストに就いたにも関わらず、50歳手前でグループ会社に出向になった人を知っています。
私たち部下からの信頼も厚く、やり手の銀行員で、学歴も申し分なく、頭取候補なのでは?とまで言われた人でさえ、出向という発令が待っているとは、銀行員も過酷な運命だなと実感した瞬間です。
出向の場合はぎりぎり銀行に籍があるので、最低の給与水準は保たれますが、転籍となると給与体系まで転籍先に合わせることになるので、当然のことながら給料は大幅ダウン。
最近ではどこの企業も経営が厳しい状況なので、いくら銀行員とは言え、正直天下り先があるだけでも有難いと思わなくてはいけません。
50歳目前に行われる黄昏研修とは?
黄昏研修は、50歳目前の行員向けに行われるもので、退職前の心構えの様なものや、第二の人生に役立つ資格などを紹介されます。
この研修の案内が来ると、いよいよ自分にも出向や転籍、定年が迫ってきていることを実感する銀行員が多いのです。
銀行員は入行後、頻繁に研修を受けますが、新入社員の頃は「預為研修」や「融資事務研修」から始まり、年次に合わせて、「主任になる時の心構えを学ぶ研修」「管理者・指導者研修」「プレママ研修」…など様々な研修があります。
中には、「お泊まり研修」「洗脳研修」の様に、行内でインパクトのある別名がつくものもあり「黄昏研修」もその一つです。
銀行員の定年はなぜ55歳と言われているのか?
銀行員の定年が一般的に55歳と言われているのは「職位退職」と大きく関係しています。
先に申し上げたように、運よく55歳まで銀行に残れたとしても、次に待ち構えているのがこの職位退職。
これにより、定年が60歳だとしても、55歳で昇進・昇格がストップしてしまうのです。
支店長まで務めたとしても、そのまま定年まで勤められるわけではなく、本人のプライドを傷付けない程度の肩書きを用意し、本部の「○○管理部」のようなところに異動させられてしまうのです。
まるで、どちらが「管理」されているのか分からない、皮肉な現実が待ち受けてるのです。
みずほフィナンシャルグループが定年退職を65歳に!
みずほフィナンシャルグループは、2018年度末までに定年を65歳まで延長する方針を打ち出しましています。
これは、3メガバンクでは初のことで、経験豊富なベテラン行員の活用を目的としており、佐藤社長は「いずれはどの銀行も65歳を定年にするようになる」と予想しているとのことです。
それと同時に若手行員の積極登用も進めており、社内公募制度によって35歳の支店長も誕生しています。
ですが、この65歳定年が良い方向に向かうとは到底考えられません。
現状、50歳前後でほとんどの銀行員が出向・転籍となるので、勝負はそれまでに決まります。
そもそも定年まで銀行に残る人が少ないので、定年が65歳になろうが、実際は50歳前後が関の山だという現実は何も変わらないというのが私の見解です。
銀行員の退職金の相場や生涯年収は?
銀行員の退職金は人それぞれですが、一般的には「2,500万円~3,000万円程度が相場」だとされています。
私がまだ新入行員で定期預金のチームでOJTを受けていた頃、定年を迎えた男性行員に「退職金定期を作ってくれ」と頼まれたことがあります。
退職金定期を作るには源泉徴収票の提出も必須で、その人の退職金は約2,900万円でした。
当時、22歳だった私にとっては莫大な金額で、驚いたことを鮮明に覚えています。
また、銀行員は高給取りというイメージが先行していますが、生涯年収で見ると一般企業とさほど変わらないという現状も見えてきます。
確かに20代後半から30代、40代前半の若い頃は、同世代よりも稼げるのが銀行員の魅力ですが、まだまだ働き盛りの50歳になると出向や転籍が待ち構えているので給与が大幅に下がってしまうケースも少なくありません。
つまり、銀行員の年収は40歳をピークに下降傾向になるのです。
若い頃の生活水準をそのままにしていたら、退職後の生活はかなり厳しいものになってしまうので、これも悩ましいものです。
まとめ
若手銀行員に定年について話を聞くと「定年が延長されるなんてごめんだ、早く辞めたい」という答えが返ってきます。
当然でしょう。
このノルマ漬けの日々が更に伸びるかと思うと、ゾッとするのも分かります。
一方、家庭を持つ中堅行員は「働けるうちは働きたい」と思う人が多いですが、銀行員が定年まで働くと言うことは、一定のリスクを抱えていると言っても過言ではありません。
役員になれなければ、出向・転籍は避けられず、給料も下がる。
実質的な定年は50歳から55歳前後になりますが、そこからの再就職は難しいでしょう。
このような結末が見えているのに、銀行員をだらだらと続けている意味はあるでしょうか?
決断をするなら早いに越したことはありません。