銀行における『回転売買』(投資信託や保険)の実態と行員のジレンマ

「回転売買」という言葉が、最近メディアでも取り上げられるようになってきました。

回転売買はという言葉は、一般的には「株式や投資信託などを頻繁に売買すること」を言います。

銀行では株式を扱いません。

ですが、『投資信託』『貯蓄性の高い保険』について、銀行が手数料を得るために顧客に販売行為を行うことが問題となっています。

 

この売り方に身に覚えがあるの銀行員も多いのではないでしょうか?

 

顧客の利益を無視し銀行の目先の利益だけを求める手数料ビジネスがメディアでも問題視されています。

ですが、投信や貯蓄性の高い保険の乗り換えを繰り返しながら、そのはざまで銀行のあり方に違和感を覚えている銀行員も少なくありません。

 

この記事は、主に今銀行で働いている方に読んでいただきたい内容となっています。

メガバンクや地方銀行における回転売買の実態と、それを行う銀行員の胸中についてお話させていただきます。

銀行における投資信託などの回転売買の裏側

顧客が銀行で投資信託や保険を購入・契約すると、購入金額に応じた購入時手数料がかかり、それが銀行の収益となります。

 

顧客に頻繁に売買を行ってもらうと銀行にどのくらいの利益があるのか?

 

例えば1,000万円の契約一本で、投資信託で「25万円」前後。

外貨建保険で「40万円」前後の手数料が銀行の収益となります。

 

回転売買なら同じお金を元手にひたすら手数料を取れるので、銀行にとってはかなりおいしい収入源です。

当然ですが、売買をすればするほど、その度に手数料がかかるので、せっかくの利益が相殺、むしろマイナスになってしまうということもあり、購入数側にとってはメリットが必ずあるとは言えません。

銀行内で推進されるのは投資信託の乗換

一番やりやすく銀行内でも推進するよう指導されるのは、投資信託保有先へのアフターフォローから乗換に繋げるセールスです。

「今持っている商品が今後下がりそうだから今のうちに売ったほうがいいですよ」と既存の商品を解約させ、「今後はこれが上がりますから」と、その資金で別の商品を買わせることで、新しい資金がなくても手数料を生むことができます。

お客様が銀行の取扱商品全てを把握していることなどまずないので、手数料の高い商品をピックアップして勧めるのです。

含み損が出ている場合は解約すれば損失確定となってしまいますが、それでも「これからもっと下がるかもしれない」という不安を必要以上に煽って、それから「損を取り戻しましょう!」と新たに購入させます。

本人の投資判断で行う「損切り」ならいいのですが、損をした上に手数料まで取られて、銀行が得するだけということも少なくありません。

乗換の推奨は外貨建保険にも

一般的に投資信託よりも外貨建保険のほうが手数料が高いので、団結して外貨建保険への乗換を推進することもあります。

投資信託以外にも、過去に貯蓄性保険を契約した顧客をリストアップし、アフターフォローと称して乗換えさせに行くこともあります。

金利の良かった時代に契約した円建保険はプラスになっていることが多いので、

「あのときこれを契約して正解でしたね!今これを解約すれば利益を取れますから、解約金で今の新しい商品を契約しましょう!」

といった具合に最新の外貨建保険を勧めるのです。

ちなみに、リスクの高い外貨建保険と違って、円建保険は一定期間保有すれば金額の保証があるものなので、顧客に特別運用したいという意思がなければ、そのまま保有し続けた方

が良い場合がほとんどです。

しかし、手数料を得るためにそこは見ないふりです。

低金利で銀行の本業では稼げなくなり手数料ビジネスに

本来銀行が取ってきた収益モデルは、預金という形で預かったお金を融資に回し、金利をつけることで利ざやを得るものです。

しかし、近年は金利低下が続き、ついにはマイナス金利なんてものが導入され、貸出金利は20年前から3分の1になってしまいました。

今の経済環境では当分上昇が見込めませんし、これまで余った資金を運用していた国債などでも当然利金利は付きません。

銀行は苦しい状況にあり、その中で手数料ビジネスに目をつけたわけです。

 

ただし、だからといって取引内容で顧客をリストアップして保険の営業に使うのは違法です。

金融庁などの検査で見つかればアウトなのですが、普段はそんなことお構いなしな実態があるのです。

銀行員が顧客のためになるとは言えないセールスをするわけ

顧客のためになるとは言えない回転売買ですが、銀行員にはそれが分かっていてもやらざるを得ない実情があります。

前述の通り、手数料は銀行にとって重要な収益源となるため、本部は支店の行員たちに「とにかく手数料を積み上げろ」と要請し、各支店とその行員に大きなノルマを貼り付けます。

ノルマには他にも色々な項目がありますが、この手数料は銀行の収益に直結するため本部も重視しており、特に強い圧力がかかります。

 

ノルマは達成したらそれで終わりではないので、エンドレスに発生し続けます。

しかし、それと同ペースで新しい顧客が現れ続けるわけではありませんし、顧客の資金が増え続けるわけでもありません。

特に運用商品を購入してくれるような、ある程度取引の深い顧客は限られています。

そうなると、日々のノルマをこなすためには、今そこにあるお金を回していくしかなく、それが回転売買に繋がるのです。

大きすぎるノルマを背負う行員にとって回転売買は希望の光

銀行員の心境としては、お客様に申し訳ないとは思いつつも、非常に頼りにしているというのが正直なところです。

大きなノルマを見て途方に暮れているとき、投資信託の保有者リストを出して、「これだけ乗換えしてもらったら達成できる!」と他の行員と話し合うことで、少し希望が持てるのです。

ノルマの進捗状況を厳しく詰めてくる上司や上の担当部署に対しても、「このような戦略でセールスし獲得する見込みです」と説明がつきやすくなります。

たとえ理にかなっていない回転売買でも、行員の言い方次第でお客さんの気持ちを傾けられればこっちのものですから、ノルマと圧力で潰されそうな行員にとっては希望の光になります。

常に目先の結果を求められる|種まきセールスで新しい顧客を開拓できない

銀行の立場に立つと、本来であれば新規顧客を開拓したり、これから資産形成をしていく若年層に丁寧なセールスをしたりして、取引拡大していかなければ将来性はありません。

現場の銀行員も、顧客の利益を無視した回転売買を勧めるより、裾野を広げる営業をした方がいいとは思っていますが、ノルマは毎月、毎週、厳しいときには毎日管理されることもあります。

そういった状況では、とにかくすぐに結果を出さなければなりません。

呑気に畑を耕して種まきをして育てるようなセールスはしていられない事情があるのです。

既に運用商品を持っている顧客はある程度の理解があり、こちらのセールスに対する抵抗感も少ないため、まさに回転売買がノルマ達成のための手っ取り早い方法なのです。

手数料目当てのセールスに行員もジレンマを抱えている

ただし、そうは言っても、手数料目当ての回転売買に行員が何も感じていないわけではありません。

私自身も銀行員時代、成績優秀な先輩に相談したとき、

 

「これ本当にお客さんのためになってるのかなって思うことよくあるよ」

 

と言われました。

これは私自身も、周りの行員も同じように抱える悩みでした。

 

これを読んでいる銀行員の皆さんも、

 

「本当にこのお客様のためになっているんだろうか」

「こんなこと本当はすべきではない」

 

と思いながら、『それでもノルマ達成のためにやるしかない』というジレンマを抱えているのではないでしょうか?

もしも、不本意なセールスを行っていると思っているならば、銀行組織でこのまま働き続けることを『今』考え直すべきです。

罪悪感に挟まれながら、営業活動を今後も行うことはできるのか?

最近はテレビなどでも「銀行は手数料目当てで顧客の利益を無視した回転売買をさせている」という話が紹介されるようになり、徐々に一般の方にも、

 

「銀行員が勧める商品は銀行の利益のためで、顧客のためではない」

「銀行員を信用するな」

 

といった認識がネットなどで広まってきていて、銀行の収益環境は厳しさを増しており、手数料ビジネスに頼らざるを得ない状況です。

こういった販売手法は今後さらに問題視される可能性は高いでしょう。

 

大きなノルマとお客様への罪悪感に挟まれながら、このような営業活動を今後もやっていけるのか?を立ち止まって考えてみましょう。

実際、多少なりとも現状への疑問、違和感を持っている銀行員も多いと思います。

感覚が完全にマヒしてしまわないうちに、『このままでいいのか』を一度考え直してみてはどうでしょうか。

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