押し売りとも取られる「お願いセールス」の実態と銀行員の胸中

銀行では、中には押し売りともとられるような、モラルに反する営業をせざるを得ない現場も一部あります。

そのモラルに反する営業の1つが「お願いセールス」という銀行本位のセールスです。

銀行員による、お願いセールスや押し売りなんかは、銀行を退職したくなる理由の1つで、これに嫌気を感じている方も多いのではないでしょうか?

私自身も、退職するまで銀行に対する不信感・嫌悪感は募る一方でしたので、その気持ちは十分すぎるほどわかります。

この記事では、銀行の内部にいた人でないと分からない『お願いセールス』『押し売り』の実態と銀行員の胸中について紹介しています。

もし、銀行のやり方に疑問を感じているなら、ぜひ目を通してみてください。

銀行の営業で日常的に行われる「お願いセールス」の実態

「お願いセールス」とは、文字通りお客様に「お願いします!」と頼み込んで契約してもらうことです。

これは、「お客様のニーズを汲み取って必要とされている商品を提案する」という、本来あるべきセールスとはかけ離れた、完全に『銀行本位の営業』と言えます。

ですので、お客様によっては「銀行員に押し売りされた」と感じている人もいらっしゃるのが事実です。

お願いセールスのターゲットにされやすい80代の高齢者

私自身も銀行員時代、お客様宅を訪問してのお願いセールスは何度も経験しました。

80代のお客様に、明らかに必要ないであろうクレジットカードやインターネットバンキングの申し込みをしてもらって件数を稼いだこともあります。

NISA制度が始まった年は、NISA口座数のノルマを達成するために、

 

「どこかお願いできる先はないのか?」

「作るだけだからなんとかお願いして」

 

という指示が、ミーティングでしょっちゅうありました。

クレジットカードやカードローンの推進強化月間なども同様です。

正直なところ、今時クレジットカードなんて欲しい人はもう持っています。

それに、このタイミングで新たに作りたがる人なんていませんので、こういう項目は、本来必要ない人へ頭を下げてお願いして売るでしかどうしようもないのです。

 

コストの掛からない商品なんて可愛いもので、相手によっては「投資信託」「外貨建て保険」などをお願いすることもよくあります。

特にターゲットとなるのは、高齢のお客様が多く、支店の戦略として「今月は80代顧客をリストアップして、この商品を売っていく」という指示が出ることも普通です。

ちなみに言うまでもないことですが、顧客以前に、行員が自分で契約(いわゆる自爆)や家族、友人はもはや当たり前です。

友人は下手すると人間関係を壊しますから、なんとかそのラインは死守している行員も多いですが、実情は自爆する行員も多数いるのが現状です。

なぜ銀行員は顧客に必要のない商品を売るのか?

これは、銀行によって違いはあると思いますが、理由は大きく分けると

 

  • 行員に課せられる過大なノルマ・上からの圧力
  • ちゃんとしたセールス力・コンサルティング力がないまま数字を求められる

 

の2つで間違いないでしょう。

銀行員は常に数字との戦いです。(ここで言う数字とは、目標と実績のこと)

 

今日の数字ができたら明日、

今月が終わったら来月、

今期が終わったら来期・・・

 

と、倒しても倒してもノルマは現れます。

どんなに実績を挙げても月が替わったらリセットされ、「今月の数字どうなってるんだ」と責められます。

つまり、『日単位、週単位、月単位』で、コンスタントに実績を挙げることが求められるのです。

 

ノルマが課せられる項目は、『預金、事業融資、個人ローン、運用商品、給与・年金振込件数』など多岐に渡ります。

融資担当だからといって融資だけ取っていればいいわけではないし、預金担当でも個人ローンなどのノルマは付きます。

小規模な銀行ほど、行員は「何でも屋」となってるので、やることが多すぎて、とても全ての分野で適切なセールスなどできる状況ではないのです。

 

しかし実際問題、ノルマは永遠に発生し続けても、顧客の数は限られています。

運用商品なら相場の移り変わりもありますから、「今は買い時じゃない」という時期もあって当然です。

しかし、上から詰められるので、「今月中に1件、、、あのお客さんにどうにかお願いしよう。。。」という感じで凌ぐこともあるのです。

過酷過ぎる銀行員のノルマ

ノルマ達成のための圧力|泣く女子行員も多い

上からの圧力も、支店によって度合いが違います。

中には、支店長の前に何時間も立たされたり、物を投げられたり、支店全員の前で名指しで責められたりもします。

私がいた支店でも、会議の時に若い女子行員(決して仕事のできない行員ではありません)が前に立たされて、「どう挽回していくのか皆に説明しろ!!!」なんてことがありました。

泣く女子行員も珍しくありません。

また支店長ともなると、本部の部長や役員からかなりの圧力を受けているので、銀行全体が悪い環境になっています。

特に月末や四半期末などは、実績を押し込まないといけないので、圧力が強まり、辞めたいと嘆く行員が多いのです。

そんな環境なので、若手だろうが新入社員であろうが、何かしらの数字を求められます。

先輩や上司は若手の指導ももちろんしようとしてくれます。

ですが、如何せん自分の数字が大きいので、そうそう下の面倒を見る余裕もありません。

さらには戦力になってきた年代の行員が次々と辞めていくので、より支店のノルマを若手行員が背負わなければならなくなります。

こんな状況なので、若手行員はまともなセールス力やコンサルティング力が養われるはずもなく、無理をして数字を作るためにお願いセールスに頼ったり、押し売りと言われかねなくても、やらざるを得ないのです。

銀行で事務を担当する女性の辛い現実

良心に反するセールスをしながら思う銀行員の胸中

実際、銀行の中にいると感覚がマヒしてきます。

しかし、マヒしてくるとはいえ、それでもお願いセールスに思うところはそれぞれあります。

どうしても頭から離れないのは、やはり『お客様に対して』です。

 

「この商品を売って本当にこの人のためになるんだろうか?」

「本当にこれをこの人に勧めていいんだろうか?」

 

という葛藤は常に巡っています。

特に投資信託などのリスク性商品を契約してもらった時は、「どうか上手くいってほしい。。」と、もはや祈る気持ちです。

無責任ですが、「どうにかプラスになるように」「間違っても大損などしないように」と願うばかりです。

契約と同時に出る「クレーム」への不安

実のところ、お願いすれば一定数は契約を獲得することが可能です。

ですが、契約と同時に「クレームになるんじゃないか?」という不安もも隣り合わせで抱えています。

高齢のお客さまから契約を貰って、後日お子さまから「こんなものをうちの親に契約させて、どういうつもりなんだ!!!」とクレームになるケースもあります。

私の周りでは、そういった事案はありませんでしたが、常にこの不安はありました。

 

ですが、気持ちとは裏腹に「契約が取れてよかった」という安心感があるのも正直なところ大きいです。

一緒にノルマを背負っている支店内の他の行員のためにも、「なんとか今週分、今月分数字をいれないと」という気持ちで多くの行員は働いています。

なので、銀行の中では、多少強引なセールスでも、結論「実績がある」というだけでいくらか気持ちが軽くなり、精神安定剤になるのです。

違和感を感じたまま銀行で一生を終えるのかを再度確認しよう

こんな不毛な仕事を続けながらたどり着く先は、

「こんなことをしないと必要な利益が取れないビジネスに意味はあるのか?」

という銀行組織に対する疑問です。

 

最近は「銀行員が勧める商品は買うな」だとか、「銀行員を信用するな」といった、銀行批判の記事や書籍が目立ちます。

ですが、正直それについては行員が一番そう思っています。

 

すべての方に当てはまることではないとは思いますが、顧客本位の営業をできている行員は非常に少ないのが現状でしょう。

正直なところ、銀行の体制が変わらない限り、現場の行員は違和感を抱えながらも今の無理なセールスを続けざるを得ないのではないでしょうか?

しかし、できることなら「顧客本位のセールスをしたい」という葛藤を抱えて働いている行員も多いです。

銀行の強引なセールスは、顧客側からすれば自分が必要としていないものを結果として押し売りされており、行員側からすれば数字としての実績は積めるものの、自分の精神を擦り減らしてしまうことになり、こうして見ると誰も幸せになっていないのです。

こんな状態では、銀行そのものに対する疑問が湧くのも当然でしょう。

 

つい最近、「転職希望の銀行員が急増している」という話がテレビニュースでも取り上げられましたが、銀行員のおかれている状況を考えれば自然なことかもしれません。

これ以上、銀行の中で圧力に潰されたり、良心に反するセールスで心を擦り減らしたりする前に、もっと広い視野で俯瞰して、今後のことを考えてみることが必要な時期がきているのかもしれません。

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